クリニック設計 ~ コストダウンを図る~
イニシャルコスト・ランニングコストの違い
今までの連載にてクリニック開業時におけるコストダウンを図るにはどのようにすればよいかということについてお話をしてきました。
クリニックの内装を行う上で、坪単価をいくらで?ですとか、コンペを行い単価を下げることができた!という話もよく耳にします。
しかし本当に差額分がお得になっているのでしょうか?
内装会社を選定する場合、一番初めに目にするのが平面プランだと思います。
この平面プランがクリニックとして機能的でないと・・・・
「スタッフの人員を余計に増やさなければならない」
「1人当たりの診察時間が長くなる」
「患者さんを必要以上に長く待たせる」
患者数は多くないのに動線が悪く、妙に忙しく、回転率が悪いなどなかなか経営が軌道に乗らないという状態に陥ってしまうのです。
また最悪の場合スタッフやドクターとの人間関係もぎくしゃくしてくるケースにもつながります。
これではいくらリーズナブルな金額で内装を仕上げても、平面プランが機能的でないと、1年もたたないうちにコストダウン分は吹っ飛んでしまうでしょう。
実際に開業後数年で改修依頼をいただいたドクターも今までに数件ございます。
結局は高くついてしまう事がありますので、このような事態を避けるためにも、デザイン性や金額だけにとらわれず、しっかりとした平面プランを選択しましょう。
いくら安い金額で内装が出来上がっても、数年もたたないうちに、あちこちが痛んできたでは困ります。
実際に同じ材料を使っても施工方法により格段の差が出ます。
またエアコンなどを型落ち製品(旧式の製品)や能力の劣る製品(10畳の部屋に6畳用エアコンを設置など)を使うことでコストダウンを図る手法をとる業者もいるようです。
冷暖能力が低いので常に運転状態になってしまうことになります。
「常に運転状態になるので電気代が高くなる」
「エアコンに負荷がかかりすぎ、壊れやすくなる」
上記の要因につながりますのでご注意ください。
開院後の細かい部分にまで気を使い設計を行うことで、実は長期的にコストを抑えることになるのです。
もちろん新規開業の際には内装のコストダウンを実現したい、他医院との差別化を図る、競合医院よりもデザイン性を高めたいというニーズもわかります。
イニシャルコストだけでは無く、根本的な部分をきっちりと抑えたうえでプランを進めてもらえる、設計会社の選定を心がけましょう。